不妊症コラム

■人工授精の治療の流れを知って、不安を解消しましょう

人工授精は自然妊娠とほとんど変わりません
どのような方に人工授精は必要?
人工授精の流れ
人工授精のリスクと費用に関して
まとめ

 

■人工授精は自然妊娠とほとんど変わりません

「人工授精」は「AIH」(artificial insemination with husband`s semen)と呼ばれています。排卵の時期に合わせて、パートナーに精液を取ってもらい、調整した精子(元気のいい)を子宮内に注入する方法です。「人工」という言葉から、自然ではないという印象をお持ちの方も多いようです。しかし、事前に採取した精子を、子宮の奥深くに注入するだけで副作用もほとんどなく、受精・着床と妊娠へ至る方法はタイミング療法(自然妊娠)とまったく変わりません。タイミング療法(自然妊娠)と比べ子宮の奥まで多くの精子が入り、卵子と出会う可能性が上がります。それにより、妊娠率が上昇します。

人工授精での妊娠率は不妊の原因にも依りますが、平均すると10%弱と言われており、6回くらいで妊娠できない場合は次のステップ(体外受精や原因検索)を考えることも必要になってきます。

今回は人工授精の治療の流れについて解説いたします。不妊の悩みがあり、治療内容について調べている方は、どのような流れで治療が進むのかを知っておけば、お仕事やご家庭の都合と合わせて無理なく治療計画を立てられることでしょう。

 

■どのような方に人工授精は必要?

そもそも人工授精はどのような方に必要なのでしょうか?
当院の考えとしては以下に該当する方に人工授精をオススメしております。

1)タイミング法で妊娠しなかった方
元気な若いカップルが排卵日に製綱しても4回に1回しか妊娠はしないので、問題の無いカップルは6周期はタイミング法で頑張りましょう。

2)運動精子の数が少ない方
軽度の男性不妊が適応で、重度になると体外受精の適応になります。
正常精液所見(WHO)は精液量1.5ml以上、精子濃度1,500万/ml以上、運動率40%以上となっています。
1回の検査でなく複数回の検査で判定します。

3)夫婦の間が性交不能の状態にあるケース
性交障害、射精障害があるがマスターベーションでは精液を取ることができる。

4)早期に妊娠をご希望の方
女性の年齢が35歳以上、子宮筋腫や子宮内膜症などを合併している方。

5)AMH(抗ミュラー管ホルモン)が年齢より低い方
PCOS(多嚢胞性卵巣)の場合は高く出るので注意が必要です

■人工授精の流れ

人工授精の流れを簡単に解説すると、事前に男性の精子を採取しておき、排卵日の直前もしくは排卵日当日に子宮内に直接注入するというものです。実際に治療前の検査からその後の流れを詳しく見ていきましょう。

★《前日~2日前》

人工授精(AIH)施行日を決定するために様々な検査を行います

1)超音波検査:卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを測定し、排卵日を特定します

2)頸管粘液検査:排卵日間近は、子宮頸管が粘液で満たされます。その状態になって初めて、精子は腔の中に入り込めるのです。この検査によって、頸管粘液の量が少ない、粘度が高いなど精子の侵入を難しくする要因を判断出来ます。

3)尿中LHの測定:尿中LH検査を行い一定の数値が確認できた場合は、治療に移ります。また、患者さんの状態次第では、採血によってエストロゲン(E2)を測定。より排卵日の日付を正確に特定する場合もあります。

以上の検査結果をもとに人工授精の施行日を決定。排卵をより確実にするため、前日にHCG注射をして、採精容器をお渡しいたします。

★《当日》日曜日、祝日もAIHは行っています。年に2~3日できない日もありますが、その場合は前もってお知らせします。

1)時刻「8時半~10時」
自宅で精液を採取しクリニックへお持ちいただきます。

一旦帰宅していただき、
2)時刻「11時30分」
お電話にて人工授精を行う時間の打ち合わせをします

・時刻「~その間に当クリニックでは「PERCOLL法」(パーコール法)と「swim up法」(スイムアップ法)を行っています」
「PERCOLL法」(パーコール法)とは、採取した精液から汚れや形の良くない精子を取り除き、質の高いものを選別して調整する方法です。パーコール法による濃縮した精子に培養液を注ぎ、上のほうに浮遊した精子を採取する方法が「swim up法」(スイムアップ法)となります。元気の良い精子のみが浮かんでくるので、それを人工授精に用いることで妊娠率が高まります。(男女比は50%:50%)

・「swim up法」で精子の回収率が悪いと予測された場合は、洗浄濃縮法になる場合もあります。

・時刻「12時30分~」
超音波測定で卵胞径を計測し、人工授精(AIH)を施行します。治療時間はおよそ10分間です。ごく少数の選別した精子を子宮内へ注入する際、患者様によっては、まれに子宮頚管より出血することがありますが、問題ありません。
注入後は、そのまま安静にしていただきます。(約5分間)

★《翌日~2日後》

超音波検査にて、卵胞から排卵が行われたかどうかのチェックを行います。

★《2日後以降》

排卵確認されたら、着床をサポートするために、HCG注射(黄体ホルモンの分泌を促す筋肉注射)、または黄体ホルモン剤による黄体補充療法で着床率を高めていきます。

 

■人工授精のリスクと費用に関して

人工授精に関しては重大なリスクはありません。しかし、患者様の状態によっては、管が入りにくいことから子宮の入り口付近で痛みを感じることもございます。また1~2日の出血があることも有ります。
報告されているリスクとしては、まれに高熱が出たり、強い下腹痛がおきたり、腹膜炎を引き起こすケースも報告されているので注意が必要です。その予防として、AIH後2日間抗生物質の内服をしていただきます。
当日に限り飲酒、入浴、SEX、激しいスポーツはできません。

費用に関しては、人工授精は自由診療扱いとなり健康保険が適用されません。おおよそ、1回当たり、約2万円(抗生物質も含む)の費用が必要です。当クリニックでは、患者さんの状況に合わせて複数の治療計画を作成します。

 

■まとめ

不妊治療は早く始めれば始めるほど、よい良い結果に結びつくのは間違いありません。

当院では体外受精は行っていませんが、精液の状態や子宮頸管の状態など人工授精に関わる検査だけでも様々な事が分かります。もし、人工授精だけで妊娠が難しいことがわかった場合は、速やかに別の医療機関へ紹介状をお書きするので、確実に次の段階に進むことが可能です。
もしも、人工授精と聞いて、重い治療といったイメージをお持ちの方はまったくそのような事は無いので、是非一度ご相談ください。

 

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