卵巣嚢腫について
正常の卵巣は2~3㎝の大きさで、子宮の左右に一つずつあります。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍と呼ばれます。その卵巣腫瘍の中で卵巣内に透明な液体・油や髪の毛・血液などが溜まり袋状になったものを「卵巣嚢腫」と呼びます。多くは良性のものですが、中には癌化して悪性になるものもあり、注意が必要です。
正常の卵巣は2~3㎝の大きさで、子宮の左右に一つずつあります。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍と呼ばれます。その卵巣腫瘍の中で卵巣内に透明な液体・油や髪の毛・血液などが溜まり袋状になったものを「卵巣嚢腫」と呼びます。多くは良性のものですが、中には癌化して悪性になるものもあり、注意が必要です。
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発症頻度は一番高く、透明な液体が卵巣の中に溜まった状態です。
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卵巣に粘液性の液体が溜まった嚢腫で、比較的高齢の人に見られます。
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生まれつきの発生で髪の毛や歯や脂肪などが溜まった嚢腫です。まれに癌化することもあります。
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子宮内膜症の一つで、子宮内膜症が卵巣に飛び火し卵巣内で月経が起こる状態のものです。月経のたびに卵巣内に出血して血液が溜まり、時間がたちチョコレート色となります。閉経後にも癌化することがあり、注意が必要です。
嚢腫が大きくなると、下腹痛、頻尿、腹部の膨満感などがあります。小さいうちは無症状で経過します。嚢腫の長径が6㎝を超えると「茎捻転」といって捻じれが起こり下腹部に激痛が出現することがあります。その場合は緊急手術が必要となります。
問診、内診、超音波検査、画像診断(MRT、CT)で診断します。また嚢腫マーカーで卵巣嚢腫の種類や悪性度がわかることがあります。子宮内膜症、漿液性卵巣嚢腫の悪性変化(癌化)が起こると腫瘍マーカー(CA125やCA19-9)が高値になることが多いといわれます。なお、腫瘍マーカーはあくまでも補助診断で、MRI、CTなどの画像診断よりは精度が下がります。
治療については、痛みなどの症状もなく悪性が疑われない場合、直径が6㎝未満なら経過観察、6㎝を越えると手術の適応になります。小さくても充実性部分(かたまりの部分)がある場合は、詳しい検査後、悪性の可能性があれば手術になります。悪性の可能性が低く、手術を選択しないときも経過の観察が必要となります。現在は悪性の可能性が低い場合の手術は体への負担の少ない腹腔鏡手術が行われます。しかし、嚢腫が大きい場合や悪性が疑われるときは開腹手術になります。